横八会員投稿 No.352

題名 一衣帯水の大国の動向から
投稿 伊藤 博 (7組)
掲載 2009.06.19

ウノ目タカの目

           一衣帯水の大国の動向から    
      

100年に一度の世界恐慌下にあって中国は経済成長が堅調。
GDPは現在日本に迫り第3位、2010年には日本を抜き2035年には米国をも
抜くとの予測がある。

中国の米国債権の保有高を見ると、08年6月迄は日本(5,838億ドル)を下回り
,068億ドルであったが、7月より急激に増加を示し9月には5,870億ドルと日本
(5
,732億ドル)を抜き世界最大の米国債保有国となった。以降08年末に6,962億ドル、
09年3月には7
,683億ドルと昇竜の勢いで推移してきた。

然し、09年4月に入るや10ヶ月ぶりに増加が止まり、その保有高は7,639億ドル
(対前月▲44億ドル)に減少し始めている。

そこで、中国の外貨準備の変化の意味と背景を概観することは、今後のこの一衣帯水の大国の
進む方向の予測と我が国の採るべき外貨保有戦略を検討する他山の石となるかもしれない。

09年3月までの急激な中国保有の米国債の増加の要因は、米国の大不況対策に必要なマネーへの
政治的な配慮であったとの見方が強い。
然し、米国は経済再建のために引き続き今後数年間に数百億ドルの財政出動が必要と目されるので、
米国債権の増発が予測される。

片や中国は、今後の雇用を維持するためには8%以上の経済成長で4兆元(約54兆円)
の財政出動を必要とし、既に、大地震のあった四川省には高速道路が5本着工済み。


また、7兆円以上の減税を予定して景気対策を検討中と伝えられる。

中国の軍事力も覇権を目指して増強されつつある。09年度の国防予算は4,806億元
(約6兆円)で前年度比14.9%と2年連続で2桁(実際は3倍との説もある)の伸び。

兵員2,102万人、艦船860隻(117万トン)航空機約3,000機。最新イージス艦や
空母(9万トンクラスの核推進)の建造計画等も控えて、これらは尖閣諸島や東シナ海ガス田開発の
我が国の権益に及ぶ動向でもある。
また、宇宙衛星破壊実験にも成功して最先端を走りつつある。

以上の通り中国の今後の資金需要は莫大で、米国債の増発で予測される価格下落リスクによる・
資産の目減りは極力避けざるを得ない。

そこで、中国政府は6月に入るや大きく軸足をシフトして、国際通貨基金(IMF)債権に切り替え、
最大500億ドルの購入を表明した。
これは合成通貨のSDR(特別引き出し権)建てであり、ドルに片寄った外貨準備の運用の多様化
幕開けとも言えよう。

そこで、さて、日本は如何に?。世界経済の動向と基軸通貨の将来を睨んで、日本海でも大平洋
でも四海穏やかに最善の方策で望むべきだが、次期政権の多々ある課題の一つとなろう。

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