横八会員投稿 No.33

題名 歴史探訪、時と所は変われども (U)
投稿 伊藤 博 (7組)
掲載 20090505

 
歴史探訪

            時と所は変われども (U)


寄稿(No.335)で触れた国家が外人兵士の貢献に応える処遇問題に関連して、
偶々5月4日付産経新聞が同じ視点から英国の「グルカ兵」の事例を取り上げているので、
その概要を紹介して、この問題を考える一助に供したい。

忠誠心と死をも恐れぬ勇猛果敢で知られているグルカ兵(ネパール王朝発祥の地「グルカの丘」
に由来)は、第一次、二次の両大戦では計20万人が英軍とともに戦い約4万人が戦死。
最近ではフォークランドやコソボ紛争、イラク戦争にも従軍している。

英軍に組み込まれたきっかけは、大英帝国とネパールの間で起きたグルカ戦争(1814〜16)。
その強さに苦しめられた英国は戦後にグルカ兵を雇い入れ(最大時は11万2000人)、
現在も英国ケント州を拠点に3500名が任務に就いている。

1997年香港の中国返還までグルカ兵部隊の拠点は英領・香港に置かれたので、97年以前に
退役したグルカ兵とその家族については、英国の繋がりが薄いという理由で英国永住権が
与えられていない。永住権取得を希望して却下された元グルカ兵は約3万6000人にのぼるという。

一方で、英国は他の外国人兵士には4年勤務すれば永住権を認めているので、グルカ兵がこの
不公平を提訴し、英国高等法院は条件付き(戦闘により勲章を受章。
戦闘による負傷。他)でそれを認めた。しかし、現状ではこの条件に叶う者は僅か1000
程度に止まるという。

現在、ネパールに帰国した元グルカ兵士に英政府が支給する年金は英兵の1/3程度に過ぎない。
もし永住権を広範に認めるとなれば、英国兵と同額の年給の支給が浮上するであろうから多額
の支出増となる。

産経新聞は、大英帝国のために命を賭けて戦ったグルカ兵を非情に切り捨てる悲しい歴史に
光をあてることが出来るのであろうか、と結んでいる。

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