その2. セメント、コンクリート、鉄筋コンクリート

 1.コンクリートとは:
   誰でもセメントと水さえあれば、適当な配合でモルタル、また砂利や砂、水を加えれば容易に安価に大量に得られる建設材料です。
   しかし、容易に使える反面、ある程度の規則を守らないと、固まらない、強度が出ない、ひび割れがひどい、等の欠陥に見舞わ
   れるため、プロの現場では厳しい管理規定が設定されています。

   コンクリートの親戚:モルタル、無筋コンクリート、鉄筋コンクリート、軽量コンクリート、重量コンクリート、気泡コンクリート、etc
   
   コンクリートの製造場所
      現場練り:土木建築のささやかな現場
      半製品:レデーミックス・コンクリート
      工場製品:各種プレキャスト製品、電柱、枕木、道路側溝、プレハブ住宅, etc

 2.コンクリートがなぜ土木や建築の材料として最も使われるのか

   2.1  セメントは世界諸国、よほどの僻地でない限り比較的容易に手に入り、砂利、砂、水も
       周辺にて手軽に入手出来る天然資源である。

   2.2  現場の情況に合わせコンクリートを造る場合も、大規模な設備が無くても規定に従えば容易に製造が可能である。

   2.3  半製品や工場製品を作る場合も、近代的な工業設備や最新技術を必要としない。


 3.コンクリートの特徴と性能
   
   3.1  鋼材と温度膨張率が同じであるため、鉄筋や鉄骨との一体構造が可能である。
   3.2  コンクリートはアルカリ性、鉄筋はアルカリに強いので鉄筋が錆びない。
   3.3  コンクリートそのものは圧縮には強いが、引張り、曲げ、せん断、捩り、振動等の繰り返し
       の力に対しては弱い。一方の鉄はその反対。つまりコンクリートと鉄筋は相性が良い。
       そこで圧縮には安価なコンクリート、その他の力には鉄筋や鉄骨、ピアノ線等と組合せた複合材料により
       両者の持味を最大限に引き出き下記の様な様々な製品が生まれて来ます。
       鉄筋コンクリート、鉄骨コンクリート、PCコンクリート、コンクリート枕木、電柱、ETC

 4.セメントやコンクリートの歴史、セメントの製造量
   
   4.1 セメントの歴史
       * 最古は5000年前、エジプトのピラミッドに石膏と石灰を混合し、接着材として使用。
       * 1756年頃、フランス、アメリカでは粘土分の多い石灰岩を焼きその水硬性を利用しセメント代わりに使用。
       * 1842年、イギリスのレンガ工が本格的なセメントのオリジナルとも言えるポルトランドセメントの製法を発明。
       * 日本:明治5年(1872年)、東京深川に大蔵省セメント製造所が出来る。
       * 日本:明治37年(1904年)、ポルトランド・セメント製造規格制定

   4.2 我国のコンクリート構造物の歴史
       * 日本:明治33年(1900年)、小樽港の防波堤で我が国で始めてのコンクリートが使用された。
             参考:1900年 第4次伊藤博文内閣成立
       * 日本:明治36年(1903年)7月、琵琶湖第一疎水上に鉄筋コンクリート桁橋完成

   4.3 セメントの製造方法と種類、問題点
       主要原料は石灰岩と粘土。これらを4:1の割合で混合し、成分調整用に珪石と酸化鉄原料(鋼滓)を
       加え粉砕、この後水も少々加えて、こね回してクリンカーと呼ばれる豆タンを作ります。
       その豆タンを、キルンで1400℃の高熱で焼き粉砕したものがセメントです。
       またクリンカーサイロと呼ばれる貯蔵庫に一時期保管し、需要に合わせキルンで焼成、粉砕しセメントにします。
       製品は通常25KGの袋詰め、バラ済みとして出荷します。
  
       また用途により下記の種類の様々なセメントが開発され販売されています。
          普通ポルトランド・セメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、
          特殊セメント、低熱、中庸熱セメント,等々その数約30種類
      
       しかし、セメントの製造には製造原価の40%のコストと言われる1トン当たり120KWの電力や熱エネルギー
       を必要とするため、これらのコストの高い日本国内では採算が合わず、近年は燃料費の安い原油生産国や、
       石炭が主力の中国へ生産拠点が移行しています。

   4.4 セメントの製造量 2001年
                   千トン
            世界    1,797,198        100%         
       
         1.  中国     661,040       36.8%   
         2.  インド     106,491        5.9%  
          3.  アメリカ      88,900        4.9%
          4.  日本      76,550        4.2%
         5.  韓国      53,062        3.0%    
     
         以下 ブルキナフアソ、スペイン、イタリア、ブラジル、ドイツ、ロシア 
         中国はオリンピックを控え2008年には世界生産量の44%を超えると予測されている。

 5. コンクリートが構造物になるまで
     
     セメントに適量の砂と水を加え練ったものがモルタルで、仕上材や充填材、目地材等として使用され
     ますが強度は期待出来ません。
     一方、コンクリートはセメント、砂、骨材、水を使用する構造物の設計強度や使用環境に応じ、
     工業的な管理下にて製造され、モルタルとは一線を引いています。
     
   5.1 配合(調合)設計
     
     コンクリートの材料の基本はセメント、砂(細骨材)、砂利又は砕石(粗骨材)、水です。
     建材屋でセメント、砂、砂利を適量に配合し袋に詰め、水を適量加えれば即コンクリートというを
     売っており、日曜大工であればこれで用が足りますが、構造体を目的とする場合の
     下記の条件を考慮し施工するコンクリートの配合仕様を決めます。

      1. コンクリートの強度
         * コンクリートの設計条件の基本はコンクリートの圧縮強度で設計より指示を受けます。
           特にコンクリートの強度は水とセメントの割合(セメント比(w/c))で決まります。
      
      2. 構造の対象
         * 構造物の種類や施工条件に合わせ、セメントの種類、砂骨材、粗骨材の仕様や寸法を決めます。

      3. 施工性
         * 施工の季節や温度条件、施工機械(ポンプ、バッチャー等の差)
           その結果、計算式や経験上の諸表に基づき材料の配合を決めます。
     
      4. 混和剤や流動材
         * コンクリートの施工性や効能アップのため、フライアッシュや様々な添加剤が現在使われています。

  5.2 製造
   
      1.現場にて手練やだるまによる方法:製品不安定、近年殆ど見掛けない。

      2.通称「レミコン」システムによる方法:現代の主流である。 
        JIS規格工場であることが条件で材料購入、貯蔵、コンクリート製造、レミコン車運搬、
        現場引渡しまでの一連が管理されている。
 
        * レミコン購入時の仕様打合せをきちんとすることが条件である。
          標準品、特注品の区別
          骨材の種類、呼び強度、スランプ値、粗骨材の最大寸法、セメントの種類
          運搬最大時間

      3.現場プラントによる製造:ダムの現場等の交通の不便な場所に大工事を行う場合に行う。
        材料選定の基本から始めるのでコンクリートに詳しいベテラン技術者が必要である。

  5.3 施工
      1.コンクリート打込み時の気象や箇所の検査:ごみ、型枠、鉄筋の状態
      
      2.コンクリート受入、打込み前の検査
        一定量毎のコンクリート圧縮強度試験対の採集、スランプ試験、空気量の測定

      3.コンクリート打込み時の検査と指導
        順序、バイブレーター掛け、型枠のたたき、等々(ジャンカ、蜂の巣の防止)
      
      4.養生
        * 初期の水養生、一定期日の養生を怠ると規定の強度が得られずクラック発生の要因である。
        * コンクリート打込み2日間以内に凍結した場合はコンクリートがその後も固まらず強度も出ない。

      5.型枠や足場の撤去:施工場所や気温により撤去の時期が決められています。


 6.コンクリートの問題点
    
    コンクリートの場合は管理状態さえ良ければこれまでは半永久的とされていた。
    ところが近年になりこの永久説に警鐘がなされ「コンクリートが危ない」と一部の学者が指摘している。
    1960年代の東京オリンピック以前に建設されたものは大きな問題はないが、それ以降に建設された
    構造物、その代表として山陽新幹線、中国自動車道等にコンクリートの耐久性の問題である。
    そして1970年以降に建造されまだ若年層の一部の構造物の寿命が2006年頃から尽きるのでは
    ないか、と一部の学者間で言われている。

    6.1 コンクリートの寿命
   
      耐用年数
      1. 経済的耐用年数:減価償却資産(法定耐用年数) 50〜60年
      2. 機能的耐用年数:時代の変遷で機能上役立たずになる年数
      3. 物理的耐用年数:金属疲労 鋼鉄の道路橋 60〜100年

    6.2 欠陥の症状
 
      1. 鉄筋コンクリートのひび割れ、剥離
      2. 鉄筋の露出、錆び
      3. 白癬現象
 
    6.2 欠陥原因の分析
    
      1. 設計不良のため過重の力が掛かる。
      
      2. 施工不良

         1. コンクリート配合設計のミス
            * コンクリートに水を故意に加えたり、規定の時間が過ぎたコンクリートの打設。
            * コンクリートの打設が不適当な条件下での施工
            * 養生不完全、型枠や支保工の取り外しが早過ぎたための強度不足や変形

      3. 1,2の原因と異なり近年騒がれている原因
 
         1. 山砂不足のため、塩分を含んだ川砂や海砂を塩分の除去が不十分で使用。
            例:山陽新幹線 姫路ー相生間の高架部分の顕著なひびわれ
   
         2. セメントの不良、高アルカリセメントの使用
            例:埼玉県下の住宅公団の団地
  
         3.一方、コンクリートの癌と言われる「アルカリ骨材反応」について記載します。
          
           コンクリートは元来アルカリ性であり、それ故に鉄筋が腐食せず鉄筋コンクリートが成り立っている。 
           ところがこのアルカリ性を中性化し、コンクリートを壊滅させる現象が発見され騒がれた。
       
            原因:骨材にアルカリ反応性を引起すガラス性安山岩のしわざである。
            現象:コンクリート中の骨材のシリカ成分が強アルカリのため融解する。
            被害:コンクリート自体を腐食いわゆる「癌化」し、クラックが発生しその結果鉄筋をも腐食させる。
      
            調査結果の被害状況:骨材の採掘場所から裏日本、関西、中国地方の構造物に多くの
                           現象が見られる。

     6.3 対策
            不良部分のコンクリートをはつり取りモルタルやエポキシ充填や鉄筋の防錆塗装
             
             * 施工不良等の表面的、部分的なものは対処出来る。
             * しかし3.の様なコンクリートの材料的な欠陥はイタチゴッコでどうにもならない。

     6.4 結論
          従来鉄筋コンクリートの構造物は永久的とされ、メインテナンスを怠り勝ちであった。
          今後はメインテナンスが重要課題となり、その経費が膨大になった時点でその構造物の
          寿命は尽きる、と考えざるを得ない。 (人間と同じです)


丑寅No.57見出しへ
丑寅経過報告と今後の予定へ
トップへ戻る
その1 橋の知識へ