横八会員投稿 No.350

題目:大学の冬来る
投稿:伊藤 博 (7組)
掲載:2009.06.16


ウノ目タカの目

             大学の冬来る

「大学全入時代」が到来し、反面で定員割れの私立大が半数近くに上るなど、厳しい
運営を迫られている大学が少なくない。折からの世界的な不況の逆風がそれに拍車をかけ、
運用資産も大幅に目減りし、一様に経営基盤が脆弱化して来ている。

因みに、文部科学省の18歳人口の推移に関する報告によれば、あと数年以内(現在の
小学生が大学進学を迎えるころ)に、曾て
18歳の人口がピーク時であった平成3年と比較
して平成19年では
4割も減少している。

6月14日現在、平成22年度から学生募集を停止・廃校を明らかにしている私立の4年制
大学は、三重中京大学(三重県松阪市)、聖トマス大学(兵庫県尼崎市)神戸ファッション
造形大学(同県明石市)の3校に上ると報道されているが、大学間の学生の獲得争いが激しさ
を増す中で、地方・小規模校を中心に大学淘汰の動きが急速に広がる気配である。


文部科学省によると、平成20年度の4年制の私立大数は591校。
(平成2年度の372校から約1・6倍も増加)

日本私立学校振興・共済事業団の平成20年度の調査によると、定員割れした私立大は約半数
の266校。このうち、29校は定員の半数にも満たない。

その渦中で、伝統ある上位校の差別化は進むと目されているが予断を許さない。

少子化を早期に予測した大学は、従来の学部学科を改組し、魅力的な新学科新学部の開設等
の対策で対応しているが、レッテルと実質内容との一致を社会から厳しく評価されることに成ろう。

今後予想される進展の大筋は、
  ■
経営不振の大学が立て続けに潰れる
  ■
大学の再編成、統合が進む
  ■
下位大学の専門学校化が進む

然し、以上に見る通り、生き残りに必至で校益本意で国益軽視の風潮下で、益々ローバル化が
進む厳しい国際競争に打ち勝って、明日の日本の持続的発展を支える幹部となる人材を育成する
という大学の本来の使命を果たせるであろうか。

この国家的な最大の課題に果たして正解を出せるのであろうか?を今こそ文部行政も真に問われて
いると言えよう。

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090619  (続)を下記に加えます。

ウノ目タカの目

           (続)大学の冬来る

事態は当初から当然想定されたシナリオ通りに推移してきている。
文科省の基準緩和で株式会社立大は全国で6校あるが、何れも経営悪化で赤字にあえいでいる。

資格試験対策の予備校を経営する株式会社が設立した(4年制)「LCA大学」(東京)が、
今月18日来年度以降の学生募集の停止を発表した。

平成16年開校、キャンパスは全国に12。定員割れが続き、本年は定員160名

(募集目標60名)に対して18名と大幅な定員割れ。私学助成金も受けられず、
累積赤字はこの3月末で30億円に達した。

現在の在籍者459名が卒業次第キャンパス運営を停止する。

授業の内容は経営母体の予備校と渾然一体で、専任教員も殆ど居ず、大半がビデオを流すだけ。
改善勧告を受けテレビ会議システムを導入したが経営の悪化は止まらなかった。

株式会社立大の募集停止はこれまでに大学院では1校あるが、4年制では初めてとなる。

文科省が単なる大学設立基準の見直しなどで済ますような問題ではない。
教育の根本を問われていると厳粛に受け止めるべき事態であろう。