横八会員投稿 No.323

題名 フイルムに観る日本の心
投稿 伊藤 博 (7組)
掲載 2009.04.01

ウノ目タカの目

           フィルムに観る日本の心

日本映画がしばらくTVや外国映画に押されて低迷していたが、近年は邦画にも幾つかの佳作が生まれて
元気を取り戻しきているのは好ましい傾向である。

その中にあって、本年(2009)6月に封切り予定の「剱岳点の記」(原作/新田次郎。監督/木村大作。
配給/東映)に今から期待が膨らんでいる。

剱岳(標高2,999m)は北アルプス・立山連峰に聳える。古来の修験道・雄山神社が祀る主神。
弘法大師も登頂できなかったほどの難所だけに、日本地図に残された最期の空白部分であった。
この前人未踏の山に不屈の闘士で命を賭けて挑んだ、旧陸軍参謀本部陸地測量部の七人の侍の実話である。

時は明治40年(1907)。今とは比べものにならぬ粗末な装備で三角点石柱(重量100キロ超)と
測量器具一式を担ぎ、池平山〜雄山〜奥大日岳〜薬師岳〜別山、更に最大の難関である剱岳に至る連峰を
完全踏破するのは無謀に近い絶望的な挑戦であった。

撮影は述べ200日以上を費やし、標高3,000m、体感温度は氷点下40度超の現地でロケーションを敢行、
100年前の観測隊の登山を忠実に再現しリアリズムを追求。

四季折々の壮麗で且つ峻厳な大自然に真摯に誇りをもって取り組む男達の魂の記録。

名キャメラマンでもある木村監督の感性を透してスクリーンに再現される、現在は失われた「日本の心」を
観るのが待ち遠しく思われる今日このごろである。

そう言えば、曾て(1968年)石原・三船プロダクションが合同制作した映画・「黒部の太陽」(関西電力・
黒四ダム建設の物語)が先月のTVでリニュウアル版(新規にキャストもスタッフも変えて作成)となって放映された。

これも、剱岳に連なる大峡谷に建設された我が国史上最大の巨大なダムに纏わる実話の映画化であり、
当時大きな反響を呼んだ記憶が想い出される。

積雪に覆われた山岳は独特の神々しい美しさを秘めている。冬の晴天下、立山連峰を初めて遠望し感動を
覚えない人は無かろう。独立峰の壮麗さの頂点を不二とすれば、連峰の景観美は立山の右に出るものなし
といっても過言ではない。

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