横八会員投稿 No. 732

投稿:近藤礼三
題名:石川勝之助君のチャット
    映画「ウインストン・チャーチル」を音声で聞く
掲載:2018年4月12日

特記事項:~~~~~~~以下の文章を機械が読上げます。
       但し音読時間は7分50秒で長時間のためフアイルが重くので、
       音声が出るまで10秒以上の間を置くことをご承知おき下さい。



石川君が映画「ウインストン・チャーチル」の観戦記をチャットに投稿してくれた。
なかなかの名文である。
しかし、残念なことには、パソコンの場面、特にチャットの場合は行間が狭く非常に読み辛く、彼には申し訳ないが
はたして最後まで読み通す仲間がどの程度いるかなあ、と気になった。

そこで、我がパソコンに、殆ど使ったことが無い「音読」という奇妙な機能があることに気付き、これを使ったら
どうかなあ、試したのがこの頁です。

昨今では音読機能は相当に進んでいると思い、色々な箇所に実用化されていると思います。
但し、10万円余の我がパソコンの付帯機能はまだまだ幼稚で、誤読や奇妙な発音は随所にあり、
石川君は怒るかも知れないが、音読のテストケースとして利用させて頂きました。


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現在話題となっている映画「ウィンストン・チャーチル」を鑑賞した。チャーチルは第二次世界大戦に際し
大英帝国の首相として英国国民の先頭に立ち、一方では同盟国と協調しながら最終的にはヒトラーを駆逐し
て勝利を手中に収めたことはよく知られている。
原題の「Darkest Hour」(最も暗い時)とは、ナチスドイツが欧州で勢力を拡大していた第二次世界大戦初期を
指したチャーチルの造語。
ヒトラーとの和平交渉か、いや徹底抗戦か――英国が困難な選択を迫られた
1940年5月9日からの1カ月弱を、2時間の濃密なドラマに凝縮して見せるのがこの作品だ。
ちなみに彼は他にも有名な「Iron Curtain」(鉄のカーテン)という造語を冷戦時代に世に送り出した。


 主役はドイツへの宥和政策が破綻して辞任した首相チェンバレンの後を継ぎ、65歳で新首相となったチャ
ーチル。議会で首相に任命され、風雲急を告げる事態に対処することになるのだが、その時点ではすでに
ベルギー、オランダはヒトラーに蹂躙され次にはフランスも風前の灯となっていた。
そして英国本土が空襲される時期は間近に迫っていた。
前任の首相チェンバレン以外にも有力政治家の一部には厭戦機運が蔓延し休戦協定を待つ事態となっていた。
チャーチルは歯に衣着せぬ物言いと妥協しない性格で政敵も多く、挙国一致内閣を率いながらも和平交渉派に
追い込まれ孤立する。


 辻一弘による驚くほど自然な特殊メイクにより丸顔のチャーチルに変貌したゲイリー・オールドマンは、
頑固だが人間味あふれるキャラクターを独特の口ぶりと挙動、繊細な表情で体現。自由のため断固戦うこと
を訴える入魂の演説には、時を超え現代の観客の心に響く普遍の力が宿り、アカデミー賞、ゴールデングロ
ーブ賞、全米映画俳優組合賞などの主演男優賞を総なめにしたのも納得の名演技だ。


 新任秘書エリザベス(リリー・ジェームズ)の視点が物語の案内役として終始登場している。兄は英軍が
後述するダンケルクからの撤退時に戦死したのでその悲しみから抜け出せないところへ、狂乱状態の首相に
仕える身である。彼女の目を通してチャーチルの仕事ぶりや家族との関わりを描くことで、老政治家の愛す
べき側面や大いなる決断までの苦悩を間近に目撃している気分にさせてくれる。


 伏魔殿のように薄暗い議会に射す光、陽光が柔らかく照らす王宮の室内、犠牲となる部隊を憐れむかのよ
うな俯瞰視点、黒枠に閉ざされた首相専用トイレで孤独感を漂わすチャーチル(余談だがトイレの扉に記さ
れた「WC」は彼の頭文字でもある。英国流ユーモア?)など、印象的なショットは枚挙にいとまがない。

さらに感慨深いのは、本作がダンケルクで独軍に包囲された連合軍兵士を撤退させるダイナモ作戦の開始ま
でを伏線として描いている点。つまり、ダンケルクの戦いを兵士と民間の船乗りたちの視点で描いた「ダン
ルク」(半年前に上映された)と、互いに補完し合う内容になっている。
したがってこの時点で前述の歴史に残る大陸のダンケルクからの大退却を扱った映画「ダンケルク」を鑑賞
しているとチャーチルのセリフがよく理解できる。
この退却に際し、武器、弾薬は放棄したが兵員をほほ全員本国へ帰還させたことはその後の戦局に重大な影響を
会与えた。
戦死が明白にも拘わらず兵員を南方の島々に次々に送り込んだ日本の陸海軍の作戦と雲泥の差がある。


この2作が近い時期に製作、公開されたシンクロニシティ(英語:synchronicity、日本語:同時発生)は
何を意味するのか。各国で独裁的なリーダーが台頭し、英国自身もEU離脱問題で民意が分断されている今、
表現者たちは再び〈最も暗い時〉が到来することを予感しているのかもしれない。 
ただし、「夜明け前が最も暗い(The darkest hour is just before the dawn)」という英語のことわざもある。
暗い時代にこそ、明るい未来を信じて声を上げることの大切さを、映画は雄弁に語っているのか。


終わりに余談・蛇足を二つ紹介したい。

その1.映画に見られる通り、あの当時でも欧米ではすでに口述記録をタイプライターで行っていた。小生
が現役時代、仕事で米国の弁護士事務所で終日閉じ込められて担当弁護士と協議したことがある。その際タ
イピストが傍らで小生の不完全な英語をタイプライターに打ち込んでいた。その面談が終わり10数分経過し
て休憩しているとタイプ打ち込みした用紙を小生に示し「これでよいか」と聞いてきた。
小生が下手な英語で述べたことが見事に標準英語で記載されているではないか、全く驚いた。
このタイピストの頭の中はどうなっているのか。
日本人の下手な英語を聴く⇒標準英語に直す⇒指でキーを叩く。この一連の動きを瞬時に処理するなどはまさに
神業だと思った。

その2.この映画の場面の数か月後、ロンドンは昼夜ドイツ空軍の猛空襲を受け中心部の文化財・構築物が
多数破壊されたこと、そして学童疎開が行われたことなどは日本では意外と知られていない。
小生が英国旅行中立ち寄ったある貴族の荘園が疎開先の収容施設であったと当時の写真で英国の学童疎開の歴史を知った。

日本でも田舎の別荘、神社、仏閣が疎開先となった事例と対比して戦争で犠牲になるのは兵士のみならず幼
児にまで及ぶことを再認識した。


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またまた長文になってしまったが最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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