横八会員投稿 No.456

題名:歴史探訪、外交官の記録
投稿:伊藤 博 (7組)
掲載:2010.08.31

その1.歴史探訪

             一外交官の記録

横浜の山手イタリア山公園の一角に、「外交官の家」と呼ばれている建物がある。

アメリカン・ビクトリア様式のこの建物は、明治・大正時代に活躍した外交官・内田定槌の私邸。
1910年(明治43年)渋谷・南平台国に建てられたものを、現在の場所に移築。1997年(平成9年)
その移築完成と同時に国の重要文化財に指定された。

設計は米国人のJ.M.ガーディナー(立教大学の前身の校長も務めた人)。
設計した多く建物は関東大震災などによって失われたので、現存する貴重な遺構である。

内田定槌は日清戦争の当時の京城(ソウル)領事。その後、ニューヨーク総領事、ブラジル、
スウェーデン公使、トルコ全権大使を歴任した生粋の外交官であった。

然し、韓国の旧朝鮮時代に起きた歴史上の重大事件の生々しい現場を正確に記録・報告した彼の功績の
史実は意外に知られていない。

内田が京城領事の時に、日本軍「守備隊」と「壮士」が王宮の景福宮に侵入し、一国の王后(閔妃)
暗殺事件に遭遇。この一大事件に心を痛め、「歴史上古今未曾有の凶事」としてその詳細につき苦渋に
満ちた正確な報告をした外交官であった。

事件直後から書き続けられた外務次官原敬(後の首相)宛の私信、外務省宛の公信電報と機密書翰、
広島地方裁判所草野検事正宛の報告書、事件から40年後に外務省の調査に応じて語った回顧談等の内田の
残した諸記録が無ければ、この事件は深い闇のなかに葬られたであろうと評価されている。

本事件に関する当時の日本政府・元老・軍、参謀本部の対応の詳細は、公開されている日本外交文集や
外務省外交資料等でも見ることが出来る。

列強と対峙する日本の事情、日清戦争後の三国干渉、ロシアの南下政策と朝鮮半島の位置づけ等の時代背景を
勘案すれば、往時の出来事を現在の判断基準を前提として論ずることは問題もあろう。然し、
いつの時代であろうとも、義を武を以て正当化することは、目的のために手段を選ばずとの誤解、
批判や謀略の誹りを国際的に他国から受けることになりかねず、良策ではない。

歴史の流れは早く時代は移り行き、日韓併合100周年を迎えた。今日も「外交官の家」を訪れる観光客が
絶えないが、元家主の業績まで偲ぶ人は少ない。

内田領事の報告書から、本人が自ら現場に駆けつけ、自ら書き記した暴徒の経路と明成皇后(閔妃)
殺害の現場の詳細地図(出典:外務省外交資料館)を参考までに添付する。

  

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その2.

掲載:2010.09.04

歴史探訪

                平泉に繋がる横須賀

 鎌倉時代に遡る横須賀と東北・会津をぶ歴史的な関連は、この寄稿欄でも既に何回か触れられているが、
今回は、更に奥州・平泉との繋がりを物語る新事実が発見されたと、9月4日付産経新聞(添付)に報じられている。

その判明した裏付けは、「大善寺の伝毘沙門天像」であるという。

 三浦半島は幸いにも先の大戦の戦災から免れたので、まだどこかに歴史を物語る遺物が眠っているかも知れない。
今後の専門家による発掘、研究が期待される。

     

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その3.

掲載:2010.09.15

ウノ目タカの目 

             乱気流の渦中で

 我が国経済の持続的な発展は、国民が等しく心から望むところです。

とりわけ、これまで経済をリードしてきた大企業は研究開発に莫大な費用をつぎ込んで来ましたが、
投資の元が取れるような新規大型テーマがなかなか出ていない現状です。

その中にあって、環境・公害関連は優れた新技術を開発して健闘していますが、投下資本を回収して
適正な利益を確保するためには量産効果を上げる必要があり、どうしても国内の需要不足を補うために
海外市場でカバーする以外になく、旧来型の輸出立国のビジネスモデルから脱することは難しいでしょう。

 そこで問題になるのは、

第1に、「予測不能の為替変動」です。

円高は一見輸入には有利のようですが、輸出には大敵で利が瞬時に吹き飛びます。となると
神ならず先の変動幅が読めない企業経営者は恐くて国内投資を躊躇し、規模縮小・撤退・リストラの
悪循環が始まります。

 現在の海外生産への急速な移転増加の背景は、なりふり構わぬ企業の生き残りを賭けたカンフル剤であり
抜本対策ではありません。国内の労働人口の減少と人件費の高騰が続くのは否定できない現実ですので、
海外に脱出する傾向は止まらず、国内の空洞化は今後も益々進むことでしょう。

家電はもとより、近年は我が国の経済を大きく牽引しきた自動車産業の海外現地生産(とその逆輸入)に
一層の拍車がかかっています。

また、今後の大きな展開が期待されている太陽電池や新大容量電池も、日本が最先端技術を移転したアジアが
量質ともにすでに日本を凌駕しつつあります。

我が国のお家芸であった新幹線の建設技術やリニヤーモータの一環輸出も(ブーメラン効果も含めて)
他国に敗退する報道が目立ちます。

 確かに、中小企業の中には世界に冠たる優秀な技術で独自の分野を独占して利益を上げている企業があります。
然し、我が国全体への影響の規模では、全てを合計しても残念ながらGDPに大きく寄与して国民経済を
上昇させるまでには至らない現況です。

 今後ともグローバル化は益々進むでしょうから、為替リスク、低賃金と良質な労働力を供給できる開発途上国
への技術移転の増加、そこからのブーメラン現象による国内経済への打撃は、今後の我が国力の疲弊に繋がる
ことでしょう。

第2に、もともと資源のない我が国は、輸入原材料で付加価値の高い製品を造り、加工貿易立国として
経済発展をしてきました。

然し、今日の最先端製品に不可欠な原料である希土類の生産国(中国他)は、自国の優位を狙って政策的に
輸出制限を強化しつつありますので、全面的に輸入に依存している日本の産業は不利な立場に追い込まれつつあります。

 第3に、政府・官界の対応にも問題がありましょう。

過去のつま先上がりの経済発展の夢醒めやらず、官僚は御用学者を巻き込んで数字をもてあそび、
実態に反する報告書をもっともらしく発表して国益ならぬ省益を守ろうとします。他方で、多くの真摯な学者や
評論家も不透明と乱気流の渦中で確たる中長期的な予測を読めず、過去の現象の後追い分析とその解説
(勝負の後の勝ち負けの判定なら誰にでも出来る)に徹するのみで、将来にむけての現在取り組むべき有効な
具体策を自信を持って表明できずにいます。

 かくの如く我が国を取り巻く乱気流の渦中にあっても、常に独自の分析により先を見通して勇気を持って決断し、
衆知を結集して実行してゆくのが真のリーダー(サラリーマン経営者には稀)のあるべき姿だとすれば、
企業経営者に求められると同様に、今こそ国政を委ねる政治家への期待が益々高まりつつある秋と言えましょう。

「官主導から脱する」ということは、自らの発想する有効な具体策を万難を排して果敢に実行することを
問われていることになります。

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