横八会員投稿 No.421

題名 ウの目タカの目、訴訟社会のもたらすもの
投稿 伊藤 博 (7組)
掲載 2010.02.18

      ウノ目タカの目 訴訟社会のもたらすもの

T.米国の現状

弁護士(連邦議会の議員の4割が弁護士)が法律知識を駆使して、完璧では有り得ない企業活動の
落ち度をつき、成功報酬で多額の損害賠償金を手に入れる。この米国の訴訟社会の実態
(1997年、日本は42万件、米国は1,560万件)が問題視されている。

弁護士の数でも、日本全体で約1万8000人に対して米国の弁護士は約80〜100万人。
歴代大統領の43人中24人が弁護士。訴訟弁護士の95%以上が民主党支持者で、その莫大な成功
報酬からの多額の寄付は民主党の財源とも言われている。


アメリカ社会で訴訟多い主な理由は、
1.米国は多民族国家
   共通性は国土だけ。生活風習の違いで競走に生き残るためには自己の権利の主張が第一。 
   米国では経営者が世間に対して謝罪することはまずない。

2.裁判を起こし易い成功報酬 
  日本とは違い、原告には訴訟手数料の費用は発生しない。訴訟費用の全てを法律事務所(護士)
  負担する代わりに、勝訴した場合には、勝ち取った賠償金の40〜50%を
 成功報酬として得る
  ケースもある。敗訴しても原告はなにも払わない。

   事故があると病院に駆けつけたり、救急車の後を追跡して病院に駆けつけたり、病院で待機して
  いたりして、被害者や家族から委任状を取るケースや、フリーダイヤルで24時間受け付ける法律
  事務所もあるほどである。

  
日本では考えられない多数の事例からそのほんの一例を見ると、

1.インドでガス流出事故が発生し2000人以上の住民が死亡した大事故。
   米国の弁護士が現地に大挙して乗り込んで被害者から委任状を集めまくって、損害賠償額の高い
  米国で民事訴訟を起こし、元経営陣はついにお尋ね者。


2.業者に自宅のプールを作らせた。飛び込んで頭を打って大けが。

   プールには「飛び込み禁止と、その理由を書いたマニュアルがなかった」と上告して結果は勝訴。
  プール会社は倒産。


3.マクドナルドのフライドポテト

  「フライドポテトに牛脂を使用している表示がなかった」と菜食主義者から訴訟を起こされ、
  12億円支払い命令。


4.フロリダで化学工場が大爆発する事故。事故の様子をテレビで見た地元の人が「精神
的なショックを
  受けた」と化学工場を訴えその訴訟は成立したという。
等々きりがないほどある。


U.トヨタのリコールについて

  
リコールの事例は他社でもある。然し、トヨタが信頼性と堅牢さを誇り、米国内でも雇用と販売を
通して経済に大きく寄与している世界最大手であるだけに、その反響は大きい。

因みに、米国トヨタの主力工場は次ぎの通りである。

工場名 雇用従業員(人) 生産車種 
ケンタッキー 7,365 アバロン、カムリ 他
ウエストバージニア 1,098 エンジン
インディアナ 4,327 ハイランダー、セカイア 他
ミシシッピー 稼働延期中   プリウス
テキサス  1,858 タンドラ
カリフォルニア
(NUMMI
4,519
2010年3月閉鎖予定
カローラ 他

以上に加えて、販売店を含めると米国内トヨタ関連の雇用は17万人を超え、地域経済への打撃は大きい。
雇用喪失の危機を訴えて擁護するトヨタ過剰批判論あり、米国ライバルからの国益追求を掲げた反撃説あり、
中間選挙を意識した公開裁判の犠牲者なりとの百家争鳴でマスコミを賑わせている。 

然し、最大の被害を被るのは我が国内経済であろう。真摯に受け止めなくてはならない。


V.リコールの現況と周辺事情

2月14日現在、事故がらみの訴訟として確認されているのは少なくとも13件。
米高速道路交通安全局によると、トヨタ車の急加速事故は死者だけで過去19名。
然し、事故による死者の遺族のみならずリコール対象車を買った人が、「車の市場価値が下がった」として
培養を求める集団代表訴訟が全米ですでに44件出ている。もし、この動きが活発化すると、巨額の賠償命令の
脅威にさらされる事になる。

更にもし、問題を掌握していながら、不具合の警告を怠り、先送りや隠蔽の事実が発覚すれば、懲罰的な
賠償金を科せられて一層大きな打撃を受けることになる。

今月16日米高速道路交通安全局はリコール(5日以内に不具合を当局に報告し迅速に実施)に遅れがなかった
否かの調査に乗り出したことを公表。

トヨタが対象車の問題を把握した時期とその生産開始の前後関係が焦点となると予想される。

その結果次第では、最大1,640万ドル(約14億8000万円)の民事制裁金を科す可能性もあり得る。
調査対象は2007年9月以降の3回のリコールと自主回収(米国だけで約600万台と推定される)。
及び、品質問題の影響を受けた全ての車のリコール有無も調べる方針。

今月24日からこの問題を解明する米下院公聴会が開催される。電子制御システムの問題に焦点を絞って
追求する方針と伝えられる。

そこで証言予定の自動車業界調査会社である、Safety Research Strategies
(SRS)社は、
「トヨタ車の急速加速問題は、アクセルペタルでもフロアーマットでもない事例があり、
突き詰めると、電子制御系が原因である可能性が高い。人が乗っていないのに車のエンジンが急に激しく回転する
事例などエンジンの燃料弁を制御する電子制御ストロートルシステム(ETCS)で多くの問題が報告されている。

急加速はトヨタだけの問題ではないが、トヨタは他社に比べて際だっている上に苦情の対応に問題がある」とし、
「電子制御に問題なしとする米高速道路交通局の調査は不十分で結論を早く出しすぎた」と評している。


W.トヨタの議会対策

09年に31人のロビーストを抱えその活動費は約540万ドル(4億9000万円)と海外自動車メーカーで最大。
主な進出先の北米南部は共和党の地盤であるので、民主党との太いパイプを持つコンサルタント会社(グローバル
パークグループ)と契約し活動の強化を図っている。

X.PR活動

今月7日からTVにて「トヨタの誓い」と題するCMを開始。
一連のリコール問題では、顧客だけでなく従業員がトヨタに期待する安全優先の基準満たさなかったと非を
認め修正に全力で取り組むと誓っている。

以上に概観した以外にも、欧米のメディアを中心にトヨタの情報開示を巡り論評が相次いでいるが、
一日も早い事態の円満・沈静化が望まれる。

事態は刻々と変化するので、今後の成りゆきをしっかりと見守って行きたい。

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