横八丑寅エイト 第61回     

演題  「橋と鉄筋コンクリートの知識」
講師  近藤礼三 (6組)

日    2006.3.23
  
その1. 橋

  技術分野では「土木」に属し、プロは橋梁と言います。
  橋の最大の特徴はその場所の地形、使用対象、交通量、材料、環境、自然条件等に同じものはまずありません。

 1.橋の種類の仕分け

   1.1 材料による仕分け

蔦のかづら橋や岩国の襟帯橋などが有名ですが、材料として信頼性に欠け
るので、人が通るだけの観光用の橋にしか使われません。
石は圧縮力には強いが引張力には期待出来ません。そのため圧縮だけ
を構造に利用するアーチ橋には適した材料ですが、専門的な施工技術を
必要とする他、材料も高価なため、近代では観光用以外は殆ど使われて
いません。
鉄筋コンクリート 圧縮側はコンクリート、引張側は鉄筋でと鉄筋コンクリートの特徴を生かした
最もお馴染みの優れた構造体です。
しかし自重が重いため単純梁の場合は支間30m程度が限度です。
鉄筋コンクリート
   +PC鋼線
鉄筋コンクリートとピアノ線の高張力を加えたハイブリッド構造で、現代の
コンクリート橋の長支間の橋や連続桁の主流です。
現代の計算技術の進歩により近代的なデザインの様々な橋も作られています。
鋼鉄 通称「ガード」と呼ばる身近な橋から長大橋まで、長短、各種の形式の選定が
可能です。橋梁技術者は3,4,5から各々の特質を取らえ、経済性を考慮し
材料を選びます。
その他の材料 一時期、塗装不必要なアルミ製がありましたが溶接が難易な上、材料費が
高価で耐久性にも問題があり、最近は見掛けません。

   1.2 用途別仕分け

歩道橋 人間の通行だけ。荷重は群集荷重 350kg/m2
自動車専用 自動車専用
車道+歩道 車道は車両荷重、歩道は群集荷重
鉄道 (在来線用) 在来線は機関車動輪のKS荷重
鉄道 (新幹線専用) 新幹線は客車のみの新幹線荷重
鉄道 (新幹線、在来線) 在来線は機関車動輪のKS荷重、新幹線は客車のみの新幹線荷重。
鉄道+車道 瀬戸大橋の場合は吊橋特有の振動問題の解決が難題であった。
水道橋 物専用
応急橋 災害復旧
軍事橋 軍事目的

1.3.発注元、所管者別仕分け
国道、農道 国土交通省の国道の橋、農水省の農道の橋
地方公共企業体 都道府県や市町村の所管する道路の橋
旧公団 旧道路公団、旧首都高速
元国鉄(現JR)、各私鉄 一時代前は私鉄の橋とはいえ、元国鉄が審査した。
民間企業 どこが審査をするのだろう?

1.4. その他
1.  地形により直線、曲がり、斜め、平面、傾斜、螺旋と様々な形状があります。
2. 当面は一般道路であるが、将来は高速道路として転用可能な仕様とする。
3. 当面は一般又は高速道路であるが、軍事目的に使用可能な仕様とする。
                            

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2.橋の設計(日本の道路設計基準の場合)
   
  2.1 荷重の種類
  
     1.1 死荷重:重量  鋼材:7.85tf/m3 コンクリート:2.35tf/m3 鉄筋コンクリート:2.35t/m3
                   瀝青材(防水用):1.1tf/m3 アスフアルト舗装:2.3tf/m3 
                   積雪荷重 (地方により差があり)

     1.2 活荷重:自動車及び歩道上の群集荷重
          a. 自動車荷重 総重量25tの大型車を基準とし、大型車の交通情況によりA荷重か
            B荷重の適用に区分する。
                 A荷重:B以外の市町村道、大型車の交通量の少ない橋
                 B荷重:交通量の多い幹線道路、一般国道、高速、物流の多い地方道の橋

                      橋の床組や床版を設計する荷重をT荷重
                      主桁や主構を設計する荷重をL荷重と言う。
          b 群集荷重     350kgf/m2(但し支間に差があるが)
     
     1.3 衝撃荷重
     1.4 風荷重
     1.5 地震荷重
     1.6 温度変化による荷重

     計算する場合、これらの荷重の取り扱い方法は専門的になるため、今回は説明を省略する。

  2.2 応力計算

    橋の各区分(各点)の曲げモーメント、引張り圧縮、せん断の値を、各々の最も影響の大きい部分に
    荷重が載った状態での最大、最少の作用力を算出する。(長期応力)
    但し、1項の荷重にて1.1死荷重、1.2活荷重は常時100%、それに1.3 衝撃荷重等を加える
    場合は、頻度の少ないことを考慮し加算した作用力を低減する。(短期応力)

  2.3 応力計算、断面の決定

      2.3.1  使用される主要鋼材

鋼板
   引張り強さ41kgf/mm2 一般構造用圧延鋼材 SS鋼
   引張り強さ41〜60kgf/mm2 溶接構造用圧延鋼材 SM鋼
   同 溶接構造用対候性圧延鋼材 SMA鋼
部材の現場継ぎ手高力ボルト
   引張り強さ80〜100kgf/mm2 F8T, F10T及びトルクシア形高力ボルトS10T
斜張橋や吊橋のケーブルには
   引張り強さ150〜180Kgf/mm2のピアノ線

  2.3.2 許容応力度
           
鋼材の種類
SS400
SM400
SMA400W
SM490 SM570
SMA570W
許容軸方向引張り応力度 kgf/cm2 1400 1900 2100
許容軸方向圧縮応力度 kgf/cm2 1400 1900 2100
許容曲げ応力度 kgf/cm2 1400 1900 2100
許容せん断応力度 kgf/cm2 800 1100 1200

   直径1cmの鋼棒の断面積A=0.785cm2×1,400kg/cm2=1,099kg 即ち径1cmの鋼棒で約1Tonの耐力がある。
   大雑把に見て許容値は破壊強度に対し安全率3とみて良い

  2.3.4 部材設計

    2項で算出した応力に対し、その各点の仮部材断面の面積、二次モーメント等により断面の
    応力度を計算し、その値が3.2項の許容応力度以下になれば仮断面の部材にて設計する。
    許容応力を超えたり、大幅に下回るようであれば何度でも部材断面を換えやり直す。
    
        

  2.4 耐震計算

    神戸地震はゆれの度合が従来の静的(荷重)計算に加え、動的(振動)計算の重要性を改めて
    認識させた。しかし耐震計算は非常に難解で専門知識を必要とする。
    また計算結果を反映した橋脚や電柱などの鉢巻の効果はいかに。 

3.橋の架設の代表的な工法    
                   資料ー1 資料ー2 参照

 1  支保工、ステージング工法
 2  手延式、キャンチレバー工法
 3  クレーン吊上げ式
 4  ケーブルクレーン工法
 5  クレーン船利用の大ブロック吊上げ方式
 6  潮干満差利用



4. 橋の知識 いろいろ

  4.1.橋較べ          資料ー3 参照


日本No.1 世界No.1
全長  3,911m(本四横断・明石大橋)   38.4km(アメリカ、ルイジアナ州、ポンチャートレイン湖)
支間長  1,991m(同上、中央径間)   左に同じ。本四横断・明石大橋の1,991m
地表からの高さ  100m(龍天橋、宮崎県、林道)   343m(フランス、南部ミヨー大橋・タルタン川渓谷)
                                           

  4.2.映画と橋
     
     橋と言う響き、風景、歴史的な背景を持つ様々な橋は恋物語、戦争や民族の悲劇の絶好な舞台になります。
     日本では弁慶の「京の五条の橋の上」、君の名の「数奇屋橋」程度。
     それに較べると、海外ではロンドン橋、戦場にかける橋、トコリの橋、最後の橋、明日にかける橋、
      カサドードームの橋、カレル橋、帰らざる橋、等々賑やかです。


付録 我が国の橋梁社会の今後の方向

     昭和30年代の始め頃までは、難しい橋は大学の先生や旧建設省の役人、国鉄の技師等が自ら設計を行い、
     橋はお上の仕事として発注者の威厳の象徴であった。。
     しかし東京オリンピックの頃に入ると、お上は手一杯となり、設計を民間の設計コンサルタントに委託するようになった。
     しかし、当時のコンサルは実力が乏しく、お上の内職になったり、メーカーに設計を内々委託。
     そこで、メーカーは待ってましたとばかりこれらの仕事を引受け、実力をつけてきた。

     特に巨大プロジェクトの場合には技術提供や莫大な無料奉仕を行い、発注元やコンサルに貸しを作る。
     要は先にツバをつけたものが勝ちで、発注時には暗黙の仕切りが生じるようになった。
     そこにお互いの幸せのために必然的に談合が生まれ、犯罪行為として摘発を受けたのである。
     そうなると、発注元もメーカーもこれまでのように共同研究を警戒し、メーカーも先行投資や当面ゼニに
     ならないことは控えるようになる。
    
     財政縮小の槍玉の頂点が公共投資であり、道路予算は厳しく削減されている。
     まためぼしい橋の大規模プロジェクトも今後の先が見え、橋梁業界は規模縮小の体制に入っている。
     当業界の流れとしては、輝かしい橋は今後は海外で、一方国内の既存の橋は老朽化が進行して
     人間と同様に、アフターケアーが新たな開拓地の時代に入っている。

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