横八会員投稿 NO.52

投稿者  伊藤 博 (7組)
タイトル   書評:アジア太平洋戦争における慶應義塾関係戦没者名簿
掲載    2005.08.21

 
      
書評:「アジア太平洋戦争における慶應義塾関係戦没者名簿」

 敗戦60周年を迎えた今夏、「アジア太平洋戦争における慶應義塾関係戦没者名簿」
(慶應義塾大学名誉教授白井厚責任編集。慶應義塾大学出版会刊)が上梓された。
 

 その先駆けは、1991年より白井名誉教授のゼミナールにおいて始まった
「太平洋戦争と慶應義塾」という共同研究に由来する。

 爾来14有余年間の長い年月に及ぶ不断のデータの補足収集と点検・整理の地味な難事業
 に取り組んだ賜として、全体を網羅する成果となって結実したものである。

 付表とグラフは、太平洋戦争におけるわが国の苦戦の経緯を、戦没者数から、地域別・
 年代別の多角度から解析した実証的な裏付である。

 長い期間にわたるこの調査には幾つかの厳しい山坂もあり、また、大戦当時の関係者も
 老齢化により幽冥界を異にする人々も年々増え、調査が難航した峠もあったであろうと
 忖度される。

 それ故にこそ、この成果を目にする何人も、これこそ全学を上げて取り組むべき内容に
 相応しいものであり、一ゼミナールの 研究テーマの枠を大きく超えた記念すべき偉業
 であると胸を打たれるのである。  

 その背景に脈々と流れる、平和・不戦を希求する熱い使命感を見る思いがする。

 折しも慶應義塾は創立150年周年を迎える秋、太平洋戦争における塾員戦没者
 2,200余名の慰霊・鎮魂の不磨の記録の空白を埋める碑としてのみならず、広く
 わが国の後世へ語り継がれるべき歴史のページに貴重な軌跡を深く刻し、散華した方々
 への何よりの手向けとなるものと思われる。

 今年の敗戦記念日も、ひときは熱い一日であった。

                          合掌

                        伊藤 博 

                        帝京平成大学

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