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横八会員投稿 No. 541

投稿:伊藤 博 (7組)
題名:二兎を追う
掲載:2013/09/14

ウノ目タカの目

二兎を追う

捲土重来の努力が実り、東京五輪の招致が決まったのは喜ばしい限りである。

これを機に、希望と発展への起爆剤となるように心から祈る次第である。

号外も出てマスメディアはこの報道一色。東北災害復興関連の報道はしばし姿を消した。

時間の経過とともに五輪フィーバーが収まるにつれて、マスメディアも平常心を取戻し、東北の現場の声が

 また紹介されるようになった。

復旧・復興は地道な長い道のりであり、一過性のいかなるイベントがあろうとも、ひと時たりとも支援のテンポを緩めることは許されない。

早や2年半を経過したが、現場の復興への体感温度は必ずしも上がっていない。

「福島の復興なくして日本の再生なし。支援の政策総動員。即断即決、百の言葉より一の実行」のスローガのみが人無き瓦礫の町に響く。

政府の復興予算の推移と使い道を見ても、1017億円もの資金が被災地と関係のない目的に流用(政府は返還請求)されたり、

 使い残しが判明して、その管理の杜撰さが大きな問題となっている。

平成23年度から25年度間の復興予算の累計は20兆8000億円。26年度までの累計見込みを23兆3000億円と見込んでいるが、

予算内訳は年々減少している。

  復興予算の推移

平成年度    復興予算    (内訳)       累計   

23  13兆8000億円 (1〜3次補正)  

24   3兆7000億円 (補正含む)   17兆5000億円

25   3兆3000億円          20兆8000億円

26   2兆5000億円 (概算要求)   23兆3000億円

  復興交付金の配分

 交付年月    回数    交付金額      累計     

平成24年3月 (第1回) 3055億円

     5月 (第2回) 3165億円

     8月 (第3回) 1806億円

    11月 (第4回) 8803億円

平成25年3月 (第6回)  632億円   1兆7461億円

復興予算の使い残しが、何と、23年度で39%、23〜24年度では35%( 3兆8000億円 )もあることが判明。

労働力不足や建設資材不足が予算の有効利用を妨げているのがその理由だとしても、国を挙げて支援のスローガンとは裏腹に正に人災であるといえよう。

大津波に洗われた被災3県(岩手、宮城、福島)には今も荒涼とした更地が広がる。

約3万5千戸が必要とされる災害公営住宅は、300戸余りが完成したに過ぎない。

集団移転の土地造成面積も低減の恐れが出てきている。

放射能汚染の解決のめども立たず、約20万人(?)を超えるいつ故郷に帰れるかが判らず不安・困窮している人々がいる。

農水産物は出荷規制と風評被害で大きな打撃を受けて販路がなく、生活の目途が立たない。東京電力(福島第1原発)の

放射性汚染水の流出は依然として止まらない。対応が常に後追の対症療法に過ぎず、イタチごっこが続いている。過去の産官癒着のしがらみを払拭して、

抜本的な改革が急務であることは言をまたない。これなくして、国民の信を得ることは難しかろう。

 今後、東京五輪の特需が高まるとともに、労働力や資材が東京に一極集中し、東北復興の足を引っ張ることにことを憂うる。 

五輪を成功させる陰で、さまざまな問題が未解決のままの東北を置き去りにしてはならない。

 他方で、首都圏や東海地方に大地震発生の予測も高まっている。その被害想定が報じられているが、被害推計は人命損失を含めて天文学的な額に及ぶ。

 日本列島は大きく揺れている。 この時期に敢えて「二兎を追う」選択をした以上、その責任は極めて大きくい。

東北大災害復興もしっかりと地に足をつけて推進し、現地の付託に早期・的確に応える使命を忘れてはならない。

アブ蜂捕らず、船頭多くして船山に登る、の陥穽に墜ちいらぬように常に覚醒して、「天災は不可避の自然現象」の一言でこの難局をかたずけてはなるまい。